仕事で失敗した日を終わりにしない──エジソンの生涯に学ぶ立ち直り方

人物・偉人から学ぶ

仕事で失敗したとき、いちばん苦しいのは「やり直せない」と感じる瞬間かもしれません。ミスの内容より、信用や評価が揺らぐ感覚が残り、頭の中で何度も反省会が始まります。

発明王トーマス・エジソンの人生も、成功だけで語れるものではありません。むしろ、失敗や遠回りを「次の手順」に変えながら仕事を続けた人でした。この記事では、エジソンの生涯を追いながら仕事でつまずいたときの立ち直り方を、実務に落とし込める形で整理します。

幼少期:遠回りのスタートが「学び方」を作った

エジソンは1847年にアメリカで生まれました。幼少期に学校へなじみにくく、早くに通学を離れたと伝えられています。その後は母親の助けもあり、自宅で本を読み、自分の興味を軸に学んでいったようです。

ここで注目したいのは、学びの「形式」より、学びを続ける「仕組み」を持った点です。仕事でも、環境が整っていない時期はあります。そのときは条件が整うのを待つより、今の環境で回せる学び方に作り替える方が前に進めます。

私自身も、うまくいかなかった時期ほど「まとまった時間が取れない」ことが多く、結局は小刻みの学びや振り返りに切り替えました。大きな改善より、続けられる形に変える方が立ち直りは早いと感じています。

電信技師の仕事:失敗を「感情」ではなく「記録」に変える

若い頃のエジソンは電信技師として働き、現場を転々としながら技術を身につけたとされます。夜勤の合間に試作や改良を行い、すぐに成果が出ないことも多かったようです。

この時期の学びで実務的なのは、失敗を「記録の素材」に変える姿勢です。仕事の失敗は反省だけで終えると再発しやすい。逆に、条件と結果を残せば、次回の手順に落とし込めます。

立ち直り方①:失敗を工程に戻す

失敗が起きたら、まず人格評価を止めて「工程」に戻します。

  • どの手順で
  • 何が足りず
  • 何を変えれば再現できるか

この3点に分解すると、修正対象は「自分」ではなく「手順」になります。気持ちが荒れている日は、原因分析を深くやりすぎず、まずは事実のメモだけでも十分です。

研究所という仕組み:個人の根性から「再現できる仕事」へ

エジソンは1876年にメンローパークへ研究所を作り、実験が回り続ける体制を整えました。発明はひらめきだけでなく、試行錯誤が続く環境から生まれる、という発想です。

これは職種を問わず使えます。失敗を前提に挑戦を設計する考え方は、本田宗一郎が教えてくれる、失敗とのつきあい方にも通じます。

また、同じミスを繰り返すときは、注意力ではなく「仕組み」の不足が原因になりがちです。

  • チェック項目がない
  • やり方が人によって違う
  • 忙しい日に手順が崩れる

こうした条件を整えると、立ち直りは「気合」ではなく「設計」で進みます。

立ち直り方②:小さな再開を先に決める

失敗の翌日に必要なのは、反省より再開の設計です。

  • 次に同じ作業をするとき、最初に確認する1行
  • 迷ったら戻る基準(例:上司へ報告する条件)
  • 作業前の30秒チェック

このように「次の一手」を小さく決めておくと、立ち直りは現場で再現できます。

白熱電球の実用化:結果より「条件の最適化」に目を向ける

エジソンといえば白熱電球ですが、重要なのは“光った”ことより、安定して使える条件を揃えた点です。素材の検証回数には諸説あるものの、多くの試行錯誤があったことは複数の記録からうかがえます。

仕事でも、成果が出ないときは「能力がない」と結論を急ぎがちです。しかし実際には、条件(時間配分・手順・道具・相談先)が揃っていないだけ、ということが少なくありません。結果ではなく条件を整える。これが立ち直り方の骨格になります。

なお、「失敗は成功のもと」という言葉の受け取り方や背景に焦点を当てたい場合は、エジソンの「失敗は成功のもと」──発明王の生涯から学ぶ挑戦の力もあわせてどうぞ。

直流と交流の対立:負け方から学ぶ「仕事の守り方」

電力の方式をめぐっては、直流を推すエジソンと、交流を推す側の対立があったことが知られています。最終的に交流が主流になったため、結果だけを見るとエジソンは敗れた側にも見えます。

ただ、ここでの学びは「勝ち切ること」ではなく、負け方を仕事に残すことです。立ち直りの早い人は、失敗のあとに次の武器を残します。

  • どこまでが自分の責任領域だったか
  • 変えられる部分と、変えられない部分は何か
  • 次の提案に使える材料は何か

この整理をすると、敗北がそのまま“無駄”になりにくい。現場でも交渉が通らない日や、評価が上がらない月はあります。そこで折れないために、「残せる成果」を意識しておくのは有効です。

失敗や批判を受けながらも立ち上がった事例としては、ウィンストン・チャーチルに学ぶ、失敗から立ち上がる力も参考になります。

火災と再建:大きな損失のあとに、最初に守るもの

1914年に工場が火災で被害を受けた際、エジソンは再建へ動いたと伝えられています。ここで参考になるのは、失った量ではなく「最初に守る順番」を決めることです。

私も仕事でミスが続いたとき、全部を同時に取り戻そうとして空回りした経験があります。結局は、①安全、②納期、③品質、④効率の順に優先度を固定したら、やることが一気に減り、再開が楽になりました。

立ち直り方③:30分で終える“復旧チェック”

失敗直後の思考は散りやすいので、時間を区切るのが現実的です。

  1. 事実(何が起きたか)を3行
  2. 影響(誰に何が起きるか)を1行
  3. 次の一手(今日中にやること)を1つ
  4. 再発防止(次回の作業前に見る一文)を1つ

これだけで、立ち直りの土台ができます。深掘りは、落ち着いた日に回して大丈夫です。

立ち直りを長期で効かせる:学び直しという選択肢

失敗は、同じ場所で続けるだけが正解ではありません。必要なら、学び直しや方向転換で土台を作り直すこともできます。大人の再スタートの考え方は、社会人の学び直し──大人の再スタートはいつでも間に合うで整理しています。

まとめ:失敗は「途中の一場面」に戻せる

エジソンの生涯が教えてくれるのは、失敗を終わりにしない視点です。

  • 工程に戻す(人格評価を止める)
  • 記録に変える(条件と結果を残す)
  • 小さく再開する(次の一手を先に決める)

この3つが揃うと、立ち直り方は再現できる技術になります。

もし今、仕事でつまずいているなら、「これは途中の一場面かもしれない」と置き直してみてください。立ち直りは気持ちの強さではなく、次の手順を作れるかどうかで決まります。


参考

本記事は、エジソンに関する各種伝記資料および公開されている歴史資料をもとに構成しています。


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