勤務を終えて家路につく頃、街の空気が少しずつ変わっていく様子を眺めるのが、私の日常の一部になっています。通り過ぎていく車の音、夕方の散歩を楽しむ人たちの姿。そんな「一日の終わり」の風景を横目に、私は家に帰り、自分をゆっくりと休ませる準備を始めます。
警備員という仕事柄、勤務時間帯が日によって変わることも多く、生活リズムは不規則になりがちです。一般的な生活リズムとは少しずれた時間に食事や睡眠を取ることも少なくなく、こうした生活を続けていると、ふとした瞬間に「体内時計が狂っているな」と感じることがあります。休みの日に昼間ずっと起きていようと思っても、変な時間に強い眠気に襲われたり、逆に夜中に目が冴えてしまったり。毎日なんとなく体が重く、疲れが抜けきらない感覚に悩まされた時期もありました。
それでも、今の仕事や生活を投げ出すわけにはいきません。限られた時間の中で無理なく働き続けるためには、自分自身で体調を管理し、乱れがちな体内時計を少しでも整える工夫が不可欠です。
この記事では、不規則な生活の中でも心と体の健康を保つために、私が日々の生活の中で実践している小さな習慣や工夫についてお話ししたいと思います。毎日なんとなく疲れを感じている方や、同じようにシフト勤務で働いている方の心が、少しでも軽くなるヒントになれば幸いです。
1. 勤務後の帰り道、光との付き合い方
勤務を終えて職場を出て外の空気を吸い込む瞬間は、なんとも言えない解放感があります。しかし、ここで気をつけなければならないのが「光」との付き合い方です。[1]
朝の光は「さあ、今日も一日頑張ろう」という活力の源です。しかし、仕事終わりの疲れた体に強すぎる光が入り込むと、体内時計が乱れやすくなり、その後の休息に影響してしまうことがあります。
人間の体は、強い光を浴びると睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の分泌が抑えられ、覚醒状態に向かってしまうと言われています。そのため、私は仕事終わりの帰り道では、できるだけ強い光を目に入れないように工夫しています。季節によっては、帽子を深く被ったり、少し色の入った眼鏡をかけたりして、視界に入る光の量を調整しています。
そして、帰宅してからの部屋の環境づくりも非常に重要です。寝室には遮光等級の高いカーテンを取り付け、昼間でも部屋の中を真っ暗にできるようにしています。カーテンの隙間から漏れるわずかな光でさえ、眠りの妨げになることがあるため、隙間をクリップで留めるなどの小さな工夫も欠かしません。
さらに、アイマスクも愛用しています。最初は顔に何かが触れていることに違和感がありましたが、慣れてくると、アイマスクをつけること自体が「これから眠るぞ」という脳へのスイッチの役割を果たしてくれるようになりました。光を物理的に遮断することで、昼間であっても夜と同じような環境を作り出し、体を安心させてあげるのです。
2. 眠りの質を高める、静かな環境づくり
光の次に問題となるのが「音」です。昼間の住宅街は、私たちが思っている以上に様々な音に溢れています。[2]
日中の家の中は、私たちが思っている以上に外の音を拾います。近所の工事の音、車やバイクの走行音、下校中の子供たちの元気な声、廃品回収車のアナウンス。活動している時間帯であれば「日常の風景」として気にならない音も、いざ眠ろうと布団に入っている時には、驚くほど耳障りに感じてしまうものです。
特に、勤務後で神経が少し高ぶっている状態の時は、些細な物音で目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けなくなることがよくありました。そこで私が取り入れたのが、耳栓の活用です。
耳栓にも様々な種類がありますが、私は耳の穴に優しくフィットするウレタン製の柔らかいものを好んで使っています。
耳栓をつけると、外の音が包み込まれるように遠くなり、角の取れたくぐもった音に変わるため、気にならなくなります。
また、無音状態が逆に気になってしまう時には、「ホワイトノイズ」を利用することもあります。スマートフォンのアプリで、雨の音や川のせせらぎ、あるいは換気扇の回るような一定の低い音を小さな音量で流しておくのです。これにより、突発的な外の騒音がマスキングされ、意識が音に向くのを防いでくれます。
寝具の肌触りにも少しだけこだわるようになりました。以前は「寝られれば何でもいい」と思っていましたが、シーツや枕カバーを自分の肌に合う柔らかい素材のものに変えただけで、布団に入った時の幸福感が全く違います。心からリラックスできる空間を作ることで、短い睡眠時間でも深く眠れるようになり、起きた時の疲労感がずいぶんと軽くなりました。

3. 不規則な生活を支える、胃腸に優しい食事
睡眠環境と同じくらい、私が気を使っているのが「食事」です。不規則な勤務の中では、どうしても食事の時間が乱れがちになります。[3]
深夜の休憩時間に、ついカップ麺やコンビニの揚げ物など、手軽で味の濃いものを食べてしまいたくなる誘惑に駆られます。夜中の静まり返った休憩室で食べる温かいカップ麺は、なぜか特別美味しく感じるものです。しかし、これをやってしまうと、翌日の胃もたれやだるさが格段にひどくなることに気づきました。
人間の体は本来、夜間は胃腸の働きも休ませるようにできています。そこに消化の悪いものを詰め込んでしまうと、眠っている間も胃腸が働き続けなければならず、結果として全身の疲労が抜けなくなってしまうのです。
そのため、勤務中の食事は「消化の良さ」と「温かさ」を重視しています。おにぎりなら具材のシンプルなものを選び、温かいお味噌汁やスープを一緒に摂るようにしています。温かい飲み物は、冷えた体を内側から温めてくれるだけでなく、ホッと一息ついて緊張をほぐしてくれる効果もあります。
また、仕事終わりに帰宅した後の食事も悩ましいところです。お腹は空いているけれど、しっかり食べると眠れなくなる。そんな時は、温かいおうどんや雑炊、あるいはバナナとヨーグルトなど、胃に負担をかけずに小腹を満たせるものを少しだけ食べるようにしています。
「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」「どれくらい食べるか」を意識するようになってから、胃腸の調子が整い、それに伴って体全体の重だるさも少しずつ解消されていきました。胃腸を労わることは、自分自身を労わることなのだと、身をもって感じています。
食後に少しゆったりした時間を取ること自体が、心身を整える小さな儀式になります。夜の数十分をどう過ごすかで、翌日の体調はずいぶん変わってきます。
4. 休日の過ごし方と、自分を取り戻す時間
不規則なシフト勤務をしていると、休日の過ごし方も難しくなります。「休みの日はとにかく寝ていたい」と、昼過ぎや夕方まで布団の中で過ごしてしまうこともありました。しかし、いわゆる「寝だめ」をしてしまうと、夜になって眠れなくなり、翌日からの仕事にさらに悪影響を及ぼすという悪循環に陥ってしまいます。
そこで私は、休日であっても「起きる時間」をある程度固定するように心がけています。もちろん、疲れの溜まった日の翌日などは少し長めに眠ることもありますが、それでも午後遅くまで寝続けることは避け、一度カーテンを開けて太陽の光を浴びるようにしています。
そして、休日の午後や平日の夜のわずかな時間は、私にとって大切な「自分を取り戻す時間」でもあります。好きな本を読んだり、静かな音楽を聴いたり、ただぼんやりと窓の外を眺めたり。何もしない時間を作ることで、張り詰めていた神経が少しずつ解けていくのを感じます。
不規則な生活の中で、心身のバランスを保つためには、こうした「余白」の時間が欠かせません。日々の仕事に追われていると、つい自分のケアを後回しにしてしまいがちですが、意識的に立ち止まる時間を持つことで、また明日から頑張ろうという気力が湧いてきます。
一朝一夕に完璧な生活リズムを作ることは難しくても、自分なりのペースで、自分を大切にしながら進んでいく。この視点を持つことで、日々の不規則な生活の中にあっても、心の中に一本のブレない軸を持てるようになりました。
完璧な生活リズムを作ることは難しくても、自分なりのペースで、自分を大切にしながら進んでいく。それが、今の私にとって一番心地よい働き方であり、暮らし方なのだと思います。
まとめ
- 勤務時間が不規則でも光・睡眠・食事・休息の調律が重要
- 寝室のカーテンの隙間をチェックし光漏れを防ぐ工夫
- 夜の休憩時に温かい飲み物を飲む習慣の推奨
- 小さな具体的な工夫が体調管理に役立つ
勤務時間が一定でない暮らしの中でも、光・睡眠・食事・休息という小さな調律を続けていくことで、体内時計とゆるやかに付き合っていくことはできます。今日からできることとしては、まず寝室のカーテンの隙間をチェックし、光漏れを防ぐクリップを用意することや、夜の休憩時に温かい飲み物を一杯飲むことを試してみてはいかがでしょうか。これらの具体的な工夫が、体調管理に役立ちます。
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」(https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-001.html)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠のためのテクニック」(https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-006.html)
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html)


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