それでも最近は、へとへとの日でも、なんとか自炊ができている。変わったのは、私の意志の強さではない。台所の道具を、少しだけ見直しただけなのだと思っている。
自炊が続かないのは、料理が苦手だからでも、やる気が足りないからでもないのかもしれない。ただ、疲れた体には、いくつものハードルが高すぎるというだけのこと。そのハードルを下げてくれたのが、これから紹介する道具たちだった。
自炊が続かないのは、意志のせいじゃない
疲れた日に自炊のハードルになるのは、じつは「調理」そのものではないことが多い。むしろ、その前後にある「準備」と「片付け」のほうが、重くのしかかってくるのだろう。
野菜を切って、火加減を見ながら鍋のそばに立ち続けて、食べ終わったら油まみれの鍋やフライパンを洗う。この一連の流れを想像しただけで、疲れた日にはもう無理だと感じてしまう。かつての私がまさにそうだった。
自炊が続かない理由は、たいてい「面倒くささ」にある。
その面倒を一つずつ減らしていけば、
料理はもっと軽くなるのかもしれない。
だから私は、「頑張って自炊する」のをやめた。かわりに、「頑張らなくても自炊できる」道具に、少しずつ入れ替えていった。その結果として、疲れた日でも台所に立てるようになってきたのだと思っている。
その1:ほったらかしにできる「電気圧力鍋」
いちばん効いたのが、電気圧力鍋だった。材料を入れてボタンを押せば、あとは放っておくだけ。火加減を見張る必要もなく、そばに立っていなくていい。その間に、シャワーを浴びたり、少し横になったりできる。
私が使っているのは、一人分から二人分くらいにちょうどいい2.2Lのタイプ。カレーや肉じゃが、豚の角煮のような「本来は時間のかかる料理」が、放っておくだけで柔らかく仕上がる。疲れて帰った日でも、材料さえ入れてしまえば、あとは待つだけというのは、想像以上に気持ちが楽だった。
予約機能を使えば、朝セットして帰宅時に温かい料理ができている、という使い方もできる。自動メニューが多く、レシピブックも付くので、料理に慣れていなくても始めやすい。
洗うのは内鍋とふた、パッキンくらい。フライパンや鍋、菜箸をいくつも洗っていた頃と比べると、片付けの手間もかなり減った。「調理」と「片付け」の両方が軽くなるのが、この道具のいちばんありがたいところだと思っている。
その2:洗い物を減らす「耐熱ガラス保存容器」
疲れた日の敵は、なんといっても洗い物だ。だからこそ、洗い物そのものを減らしてくれる道具は、いくつあってもいい。そこで役立っているのが、iwakiの耐熱ガラス保存容器だった。
この容器の良いところは、一つで何役もこなしてくれること。作り置きを入れて冷蔵庫で保存し、そのまま電子レンジで温めて、器としてそのまま食卓に出せる。皿に移し替える必要がないから、洗い物が一枚減る。小さなことのようで、疲れた日にはこの一枚が大きい。
ガラス製なので油汚れや匂いが残りにくく、色移りもしにくい。大きめ・小さめとサイズ違いが揃った7個セットなら、作り置きの量に合わせて使い分けられる。
プラスチックの容器と違って、ガラスは油汚れがするっと落ちるので、洗うのも楽だ。休みの日に何品か作って詰めておけば、疲れた日は温めるだけで一食になる。「作り置き」という仕組みそのものが、未来の自分を助けてくれる。
その3:下ごしらえを軽くする「よく切れる包丁」
意外かもしれないが、包丁を変えるだけで、料理のおっくうさはずいぶん変わる。切れ味の悪い包丁で硬い野菜と格闘するのは、それだけで気力を削られる。逆に、すっと切れる包丁があると、下ごしらえのストレスがぐっと減る。
高価なものである必要はない。私が使っているのは、貝印の関孫六シリーズの三徳包丁。手頃な価格ながら日本製で切れ味もよく、毎日の料理に十分すぎるくらいだった。三徳包丁は、野菜も肉も魚もこれ一本でこなせるので、あれこれ持たなくていいのも身軽でいい。
関孫六は刃物の産地・岐阜県関市で作られる貝印の定番シリーズ。手に取りやすい価格帯で、はじめの一本としても選びやすい。
切れ味のいい包丁は、料理のいちばん最初の一歩を軽くしてくれる。始めるハードルが下がれば、「今日はやめておこう」という日が、少しずつ減っていくのだと思う。
道具の次は、「段取り八分」という考え方
道具を揃えたら、もう一つだけ効くものがある。それは「段取り」だ。
以前、現場仕事をしていた頃に教わった言葉に「段取り八分」というものがある。作業に取りかかる前の準備で、その日の出来の八割が決まる、という意味だ。実際、段取りさえ整えておけば、当日の作業は驚くほどなめらかに進んだものだった。
これは自炊でも、そっくり同じことが言えるのだろう。疲れた日に一から始めようとするから、しんどくなる。元気のある休みの日に、野菜を切って冷凍しておく、作り置きを仕込んでおく。そうやって先回りしておけば、疲れた日の自分は「温めるだけ」で済む。
段取り八分。
元気な日の自分が、
疲れた日の自分を、そっと助けてくれる。
完璧な自炊を、目指さない
ここまで道具や仕組みの話をしてきたけれど、毎日きちんと自炊しよう、という話ではない。疲れた日は、コンビニでもお惣菜でも構わないのだと思う。
ただ、「作ろうと思えば作れる」という状態を用意しておくだけで、気持ちがずいぶん違ってくる。道具と段取りが整っていれば、自炊はもう「頑張ってすること」ではなく、「気が向いたらできること」に変わっていく。そのくらいの距離感が、無理なく続けるにはちょうどいいのだろう。
疲れた日に、それでも自分のために温かいものを一皿つくれたら。それだけで、その日一日を、少しだけいたわれた気持ちになる。
まとめ
- 自炊が続かないのは意志の問題ではなく、「準備」と「片付け」のハードルが高いから。
- 電気圧力鍋は、ほったらかしで調理でき、洗い物も少なくて済む。
- 耐熱ガラス保存容器は、保存・レンチン・食卓の3役で洗い物を減らせる。
- よく切れる包丁は、下ごしらえのストレスを軽くし、料理の最初の一歩を助ける。
- 「段取り八分」──元気な日に少し仕込めば、疲れた日は温めるだけで済む。
- 完璧を目指さず、「作ろうと思えば作れる」状態を用意しておくだけでいい。
道具を少し変えるだけで、台所はずいぶん軽くなる。疲れた日の自分を責めずに済むように、まずは一つ、気になった道具から取り入れてみるのもいいかもしれない。




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