暑くて眠れない夜に。深部体温から考える、夏の睡眠の整え方

体と健康
夜中に、汗ばんで目が覚める。時計を見るとまだ二時で、そこから寝つけないまま朝を迎える。

夏の眠りは、どうしてこんなに浅くなってしまうのだろう。しっかり寝たはずなのに、朝起きても疲れが残っている。そんな日が続くと、日中の集中力まで落ちてくる。

眠れないのは我慢が足りないからでも、贅沢を言っているからでもない。夏の夜には、眠りを妨げる仕組みがちゃんと存在している。それを知ったうえで環境を整えれば、寝苦しさはずいぶん和らぐのだろうと思う。

夏の夜、窓辺に差し込む月明かりと静かな寝室
眠れない夜は、意志ではなく環境の問題かもしれない。

眠くなるのは、体温が下がるとき

そもそも人はなぜ眠くなるのか。その鍵を握っているのが「深部体温」だと言われている。

体には、皮膚の表面の温度と、内臓や脳を含む体の奥の温度がある。この奥の温度が「深部体温」で、夜になると手足の表面から熱が逃げていき、深部体温が下がる。この下がるタイミングで、自然と眠気がやってくる仕組みになっているそうだ。

ところが、寝室の温度や湿度が高いと、体の熱がうまく逃げていかない。深部体温が下がらないので、眠気も訪れにくくなる。夏の夜がなかなか寝つけないのは、この仕組みが働きにくくなっているからなのだろう。

眠れないのは、気持ちの問題ではなく、
熱が逃げていかないという、
体の正直な反応なのだろう。

寝室の温度と湿度、目安を知っておく

では、どのくらいの環境が眠りやすいのか。厚生労働省の睡眠指針では、寝具や寝間着を使って眠る場合の目安が示されている。

眠りやすい寝室環境の目安
室温
おおむね 13〜29℃(28℃を超えると眠りにくくなるという報告も)
湿度
40〜60%程度
寝具の中の温度
33℃前後が快適とされる

数字を見て意外に感じたのは、湿度の存在だった。暑さばかりを気にしていたけれど、湿度が高いだけでも寝苦しさは強くなる。汗が蒸発しにくくなり、体から熱が逃げていかないからだ。

実際、温度を下げても寝苦しいという夜は、湿度のほうが原因かもしれない。そういうときは、エアコンの除湿機能を試してみると、体感がずいぶん変わることがある。

エアコンは「つけっぱなし」でいい

もったいないから、とタイマーで切ってしまう人は多いと思う。私も以前はそうしていた。けれど、切れた後に部屋の温度が上がって目が覚めるくらいなら、つけたままのほうがいいのだろう。

大切なのは、設定温度を下げすぎないこと。冷やしすぎると今度は体が冷えて、それはそれで眠りが浅くなる。室温が28℃を超えないくらいを目安に、自分が快適だと感じる温度を探るのがよさそうだ。

夏の夜、眠りやすくするための工夫
  • エアコンは切らずに、室温28℃を超えない設定で運転する
  • 冷房で寝苦しさが取れないときは、除湿を試してみる
  • 扇風機やサーキュレーターで、部屋の空気を循環させる
  • 風が体に直接当たり続けないよう、向きを調整する
  • 寝る1〜2時間前に、ぬるめの湯船に浸かる
  • 吸湿性のよい寝具・寝間着に変える
風通しよく整えられた夏の寝室
温度と湿度、そして風の流れ。この三つで眠りは変わる。

お風呂は、眠る少し前に

意外と効いたのが、入浴のタイミングだった。

暑いからとシャワーだけで済ませていたけれど、ぬるめのお湯に浸かるほうが、結果的に寝つきがよくなる。入浴でいったん体温を上げると、その後に下がっていく落差が生まれて、眠気につながりやすくなるからだ。

目安は、寝る1〜2時間前。熱すぎるお湯だと体が興奮してしまうので、38〜40℃くらいのぬるめがちょうどいい。夏でも、湯船に短時間だけでも浸かる価値はあるのだと思う。

夜中に目が覚めたときのために

それでも、夜中に目が覚めることはある。そんなときに気をつけたいのが、水分だ。

眠っている間にも、私たちはかなりの汗をかいている。夏場は特にその量が増えるので、気づかないうちに脱水が進んでいることがある。寝る前にコップ一杯、目が覚めたときにも一口。枕元に水を置いておくだけで、ずいぶん違う。

夜間の熱中症に注意

熱中症は日中だけのものではない。エアコンを切って眠った夜に、室温が上がって熱中症になるケースも報告されている。特に、暑さを感じにくくなる高齢の家族と暮らしている場合は、寝室の温度にも気を配っておきたい。

また、目が覚めてしまったときにスマートフォンを見るのは避けたほうがいい。画面の光が刺激になって、余計に目が冴えてしまう。眠れないなら、暗いまま静かに横になっているだけでも、体は休まっていくのだろう。

眠れない自分を、責めない

いろいろ試しても、うまく眠れない夜はある。そんなとき、「今日も眠れなかった」と自分を責めてしまうと、その焦りがまた眠りを遠ざけてしまう。

眠れない夜は、誰にでもある。夏の夜ならなおさらだ。今日はそういう日なのだと受け止めて、翌日に少し早く休むくらいの気持ちでいるほうが、結果的にうまくいく気がしている。

ただ、寝つけない日が何週間も続く、日中の眠気がひどくて生活に支障が出ている、という場合は、環境の問題だけではないかもしれない。そういうときは、無理に自分で解決しようとせず、医療機関に相談してみるのもひとつの方法だと思う。

まとめ

この記事のまとめ
  • 眠気は深部体温が下がることで生まれる。暑いと熱が逃げず、寝つけなくなる。
  • 寝室の目安は室温おおむね13〜29℃(28℃を超えないように)、湿度40〜60%。
  • エアコンは切らずに、冷やしすぎない温度で運転を続けるほうが眠りやすい。
  • 寝苦しさが取れないときは、温度より湿度を疑ってみる。
  • 寝る1〜2時間前のぬるめの入浴が、寝つきを助けてくれる。
  • 夜間の熱中症と脱水に注意。枕元に水を置いておく。
  • 眠れない夜があっても、自分を責めない。長引くときは相談も選択肢に。

夏の眠りは、根性でどうにかなるものではない。温度と湿度と、少しの工夫。それだけで、夜はずいぶん過ごしやすくなる。今夜は少しでも、深く眠れますように。

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